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木村拓哉の『A LIFE』 最大の失点ポイントは配役か [テレビ]

このクール、最注目のドラマの一つだが、滑り出しは順調とはいい難いようだ。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。鳴り物入りでスタートした『A LIFE~愛しき人~』(TBS系日曜午後9時)も、第3話の平均視聴率は関東地区で13.9%。じりじりと数字が減少しています。思うように伸びていないのはなぜでしょう?

 SMAP解散騒動後の木村拓哉主演ドラマとなれば、あまりにも注目されすぎて制作陣もやりにくかったはず。相手役のヒロインがなかなか決まらない、といった噂が駆け巡るほど、滑り出しは心配され、その分、注目もされました。

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 蓋を開ければ……キムタクはいつもの二枚目。正義感、人間味に満ち溢れ、かつ型にはまらないラフさも持ち合わせたイケメン男。その上に天才的な技を持つ外科医。と、型どおりの「スーパーヒーロー」像。百歩譲って大人の解釈をすると、キムタクのイメージとして作られてきた超二枚目路線はどうしたってはずすわけにはいかない。

 だとすれば。その他の要素をいかに工夫し、どのように作れば良かったのでしょう?

 制作陣は、キムタクの周囲に主役級の人気男優をズラリと配置すればきっとうまくいく、と考えたのかもしれません。しかし、その部分がまさにほころびかけているようにしか見えないから、辛いのです。

 キムタク演じる沖田医師の重要な対立軸として配置されたのが、壇上記念病院副院長であり、沖田の元恋人・深冬の夫である壮大です。演じているのは、浅野忠信。これが目も当てられない惨状。浅野さんって、こんなに演技が下手だったでしょうか?

 ご存じ、独特の雰囲気を持つ役者。「自分の映画に出てもらいたい」と国内外の監督からオファーがひきもきらない人気俳優。凄味も不気味も深味も持ちあわせている個性派です。ただし、「黙って」いれば。

 浅野さんがここまで滑舌が悪かったとは。身振り手振りが説明的だったとは。画面を観ながら、あちこちツッコミたくなる。今回のような新劇的セリフ芝居をこれでもか、これでもかとやらせてはいけなかった。

 慌てて付け加えるとすれば、役者のせいではない。このドラマ、配役に問題がありそうです。

 例えば沖田医師の同僚、心臓血管外科医・井川颯太を演じる松山ケンイチも、やたら論文にこだわる上昇志向の強いエリート医師に、残念ながら見えてこない。貫禄がなくて何だか軽くて、そこらのキャンパスにいそうな大学院生といった存在感。

あるいは、ヒロイン。沖田の元恋人・壇上深冬を演じる竹内結子も頑張っているのはわかるけれど、難しい手術をこなす敏腕女医にはとうてい見えない。せいぜい幼稚園の先生か保育士といった、ほのぼのした風合いです。

 そして壇上記念病院の顧問弁護士で副院長の愛人でもある榊原実梨。演じる菜々緒に至っては、無理がありすぎ。キャバクラか、マウンティング悪女にしか見えない。

 役者自身のせいというよりも、ふられた役割に合ってない。

 つまり、『A LIFE』の最大の失点ポイントは、キムタクではなく「キムタクという中心軸を取り囲む配役」にこそあるのでは?

 対象的なのが『HERO』。言わずと知れたキムタク主演の大ヒットドラマと比較してみると。

『HERO』の第1期は、キムタク演じる久利生検察官の周りに、松たか子、阿部寛、大塚寧々、勝村政信……第2期は北川景子、杉本哲太、吉田羊、松重豊……そして両方に八嶋智人、小日向文世らが配置されていました。

 見事なオーケストレーション。とりあわせの妙。かけあいセリフ芝居が上手な役者をピックアップし、キャラが被らないようバラエティを意識して配置。一人ひとりが役割にすぽっとはまって、互いに補完しあっていた。これぞ、キムタク中心軸ドラマのあるべき姿では。

 ドラマは主役で決まるだけではありません。時に配役が決定してしまうケースがある。特に、キムタクのように動かし難い主役がいる場合は──『A LIFE』が雄弁に物語っていることかもしれません。 スポンサーリンク

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